組織は、次のことを確実にするために、この規格が要求するすべての文書を管理する手順を確立し、維持しなければならない。 a)文書の所在が分かること、 b)文書が定期的にレビューされ、必要に応じて改訂され、かつ所定の責任者によって妥当性が承認されること、 c)環境マネジメントシステムの効果的に機能するために不可欠な業務が行なわれているすべての場所で、関連文書の最新版が利用できること、 d)廃止文書は、すべての発行部署及び使用部署から速やかに撤去されること、そうでなければ意図されない使用がないように保証すること、 e)法律上及び/又は情報保存の目的で保管されるあらゆる廃止文書は適切に識別されること。 文書は、読みやすく、日付が(改訂の日付とともに)あって容易に識別でき、順序よく維持されて指定の期間保持されなければならない。種々のタイプの文書の作成及び改訂に関する手順と責任を確立し、維持しなければならない。 |
1. 文書化の範囲まず、文書管理の対象をどの文書までにするかについて、規格が要求する「文書化された手順」には「運用管理の手順書」、「監視・測定の手順書」、「遵法性の定期的評価の手順書」の3つがあります。 また、文書化までは要求されていない手順としては「環境側面を特定する手順」、「法的要求事項を特定する手順」、「自覚させる手順」、「コミュニケーションの手順」、「文書管理の手順」、「物品・サービスの管理手順」、「事故・緊急事態の対応手順」、「校(較)正に関する手順」、「不適合・是正処置・予防処置に関する手順」、「記録の管理手順」、「内部監査の手順」があります。 これらの手順を文書化するかしないかは組織ごとに決めるべきことでありますが、もし文書化した場合には文書管理の対象になります。2. 文書管理の要求事項文書管理の要求事項としてはa)〜e)の5つが求められています。a) では文書の所在を明確にするように要求されています。4.4.4における文書の所在は”direction”という単語が使用されていますが、ここでは”location”という単語が使用されており、文書管理が必要とされている文書をどこの部署にどれだけ配付しているかということを管理することが要求されています。 つまり、文書の配付・回収管理をしっかりしましょうということです。環境マネジメントシステム文書台帳のようなものを作成し、その中で配付・回収管理ができるような仕組みを作ればよいでしょう。 b) では文書の定期的な見直しと改訂、そして妥当性の承認について要求されています。文書は作成したら終わりではなく、環境マネジメントシステムを継続的に改善するために文書類も定期手に見直し、必要に応じて改訂していかなければなりません。その際、新規制定の場合も含めて文書の妥当性の承認行為は必ずなされていなければなりません。 これは4.4.1にも関わってきますが、文書の作成・確認(審査)・承認の役割・責任・権限が明確に定められていなければならないということに他なりません。文書の見直しと改訂については定期的なものに加えて臨時的にも実行できるような手順を作っておくと融通の効く見直しができるでしょう。 c) では必要な文書の最新版を必要とする者が使用できるようにするという要求です。この要求を満たすためには、@配付場所(部署)を適切に決めること、A必要とされる文書の最新版が常に@で決めた場所(部署)にあること、Bその文書が関連する者全てが容易に参照できるようになっていること、を確実にしなければなりません。 @は組織ごとに変わってきますが、Aでは最新版であることが重要になってきます。つまり、改訂した場合に発生する旧版文書や廃止文書を最新版と区別することが必要になってくるということです。旧・廃止文書は回収するとか、それと分かるような表示をするなどといった方法が考えられます。 Bへの対応は誰でも分かる(使用できる)ようなファイリング、あるいは電子文書化などが挙げられます(ただし、組織体系やOA設備状況等により、電子文書化が必ずしも効果的とは言えません)。 d) についてはc)で既に述べましたので割愛させていただきます。 e) では、旧版・廃止文書の中で保管しておくことが妥当だとされた文書に関する識別管理の要求です。これについても識別の表示(スタンプなど)をしたり、別ファイルしたりということが挙げられます。要するに最新版との誤使用がないような識別管理をしなさいということです。 また、文書管理の一般要求事項として、読みやすいこと、改訂を含めた日付があること、文書の種類や新・旧の識別ができること、定められた期間維持管理されていることが要求されています。 3. 不適合・改善要望事例と考察
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