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4.4.6 運用管理

組織は、その方針、目的及び目標に沿って特定された著しい環境側面に関連する運用及び活動を特定しなければならない。組織は、メンテナンスを含むこれらの活動を、次に示すことにより、特定の条件の下で確実に実行されるよう、計画しなければならない。

a)その手順がないと環境方針並びに目的及び目標から逸脱するかもしれない状況に適用する文書化した手順を確立し、維持すること、
b)その手順には運用基準を明記すること、
c)組織が用いる物品及びサービスの特定可能な著しい環境側面に関する手順を確立し及び維持すること、並びに供給者及び請負者に関連手順及び要求事項を伝達すること。

1. 運用及び活動の実施と管理

4.3.1〜4.3.4で立てたプログラムに沿って実際に目的・目標達成活動や現状維持のための日常管理活動を行なうことになりますが、これらは著しい環境側面をもとにしているはずですから、まずは著しい環境側面に繋がる運用、活動にはどのようなものがあるかを環境側面の洗い出しに遡って特定していきます。 運用とは、施設・設備、装置、車両などの運転や操作、活動とは、営業活動、設計活動、改善活動、グリーン購入、緑化運動のような業務のこと言いますが、言い換えれば目的・目標や日常管理項目のもととなっている著しい環境側面を生じる可能性のある施設・設備や作業などを環境側面の洗い出しにまで遡って特定しましょうということです。

この特定作業が済んだら、目的・目標を達成できなかったり、現状維持レベルを超える(下回る)可能性のある状況の有無を調べます。そして、そのような状況がある場合には、そのような状況の発生を回避するための手順書を作成することになります。その手順書とは、メンテナンスも含めて、所定の条件下で問題なく運用・実施でき、環境方針及び目的・目標(日常管理項目も含む)から逸脱しないようにするためのものです。

ここで作成する手順書は目的・目標を達成する(引いては環境方針を実現する)ために非常に重要な文書ですから、著しい環境側面に繋がる運用・活動を制御・管理するために該当する範囲で次のような項目を盛り込んでおくのが良いと思います。

●その運転・業務を実施する上での要所・注意点
●その運転・業務の環境側面及び環境影響
●管理項目・管理水準・点検項目
●監視・測定項目(特性)
●判定基準・判断基準(値)(=運用基準)
●携わる作業員に必要な能力的要件
●記録に残すべき情報・データ

特に運用基準は規格の中でも手順書に明記することが要求されています。運用基準とは、運用・活動を実施する上でポイントとなる作業に対する行動基準・判断基準であり、例えば、

・溶液のpH:6.0〜7.2
・燃焼温度:800℃以上
・フィルター交換頻度:月1回

といった内容です。運用基準は作業をする人によって異なってくる(解釈が変わってくる)ような内容では良くありません。誰もが同じように解釈できる内容でなければ作業者によって作業にバラツキが出てしまうので目的・目標達成が危うくなってしまいます。 ですから、運用基準はできる限り数値(目的・目標も同様ですね!)であることが望ましいのです。しかし、全てが全て数値で表せるわけではないですから、そのような場合にはできる限り誤解が生じない(作業者によってやり方が変わらない)ような判断基準・判定基準・行動基準(例えば、フタを必ず締める、限度見本によるなど)にしておけばよいでしょう。

なお、環境マネジメントプログラムにおける達成手段に運用基準及び詳細な手順が記述されており、改めて運用管理手順書を作成する必要がない場合は、環境マネジメントプログラムの達成手順を運用管理手順書としても構いません。

2. 組織が用いる物品及びサービス

外部組織から材料や部品等を調達する場合や業務の一部または全部を委託する場合は、それらも管理対象に含めなければならないという要求事項が(c)項に記述されています。 まずは、考えられる(管理できる)範囲で著しい環境影響を与え得る環境側面を特定し、特定した著しい環境側面に対応するための手順(書)を作成します。管理できる範囲とは、例えばメーカーから原料を調達する場面を考えてみると、メーカーでの材料の製造工程までは手を出せないかもしれませんが製造に使用する化学物質などについて使用禁止などの要求は出せるかもしれませんし、トラックなどで搬入してもらう際にはアイドリングストップや包装材料の回収要求などはお願いできるかもしれません。 つまり、組織が手を出すことができる範囲(限度)と言い換えられます。

そして、その外部組織に対して特定した著しい環境側面に関する要求事項(××禁止事項、○○手順)を伝達します。伝達の仕方としては、関連書類を直接送付したり、関係者が来社した時に口頭で伝えたりするなど相手組織との関係を考慮して妥当な方法を取ればよいでしょう。 外部組織へ要求事項を伝達した場合に返答があることが考えられますが、それらは外部コミュニケーション(4.4.3)として受付け、文書化し、必要に応じて対応しましょう。

3. 不適合・改善要望事例と考察

不適合・改善要望事例考察
製版Gの工程で発生する廃液、例えば廃酸・廃アルカリを保管する場所または容器に表示がなく、業者回収時も含め混合の危険があり、区分した保管方法を検討してください。 廃酸・廃アルカリの表示がないということは廃液保管の運用基準がないということ。しかしそんなことよりも誤って混合して有害なガスなどが発生した場合のリスクを考えれば、しっかりと表示をしたり隣り同士には置かないなどして混合の可能性を小さくしなければならない。
仕入先リストを'04.1.7に見直しをされていますが、Aランクの会社のみリストアップされています。この他にB、C、Dランクの会社からも購入しておられるので、環境マニュアルに記載されているようにこれらの会社も仕入先リストに記入すべきと思われます。 EMS構築当初は重点志向ということで取引額の大きい仕入先を重点的に管理していたが、運用数年目に入り、管理する仕入先を拡大していくことを検討するべきではないかという改善要望を受けた。
作業手順書「PS版の保存方法」を作成していますが、下水に流しているバケツの水についても、その手順を加えた方がよいのではないですか? 印刷で使用するPS版を洗浄する時に使用するバケツに洗浄廃水が溜められるが、その廃水がバケツいっぱいになれば下水に流すのでその手順書も必要と審査員から言われた。
MSDSを保管していますが、PRTR法に関する情報が入っていません。最新版を保管する必要があります。 原材料メーカーでは最新版のMSDSにPRTR法や労働安全衛生法に関する情報を載せているが、最新版のMSDSを取り寄せていなかったためそのような情報が記載されていなかった。
××グループの著しい環境側面から上げた目標の1つであるダイカットロールの運用手順による運用が明確に管理できるような仕組みになっていません。 ダイカットロールの管理についてチェック表は作成したが、誰が・どのような・どれぐらいの頻度でチェックするのか手順を作っていなかった。
運用管理規定が整備されていません。 当初は運用管理規定を定め、その中に詳細を定めることを検討していたためマニュアルにも運用管理規定を定めていたが、結局作らないことになった。

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