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0. 序文

0.1 一般

 この規格は、2000年に発行されたISO9000(Quality management system-Fundamentals and vocabulary)を翻訳し、技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
 なお、この規格で点線の下線を施してある箇所は、原国規格にはない事項である。
 次に示すJIS Q 9000ファミリー規格は、あらゆる業種、形態及び規模の組織が効果的な品質マネジメントシステムを実施し、運用することを支援するために開発された。

− JIS Q 9000(品質マネジメントシステム−基本及び用語)は、品質マネジメントシステムの基本を説明し、また、品質マネジメントシステムの用語を規定している。

− JIS Q 9001(品質マネジメントシステム−要求事項)は、組織が顧客要求事項及び適用される規制要求事項を満たした製品を提供する能力を持つことを実証することが必要な場合、並びに顧客満足の向上を目指す場合の、品質マネジメントシステムに関する要求事項を規定している。

− JIS Q 9004(品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針)は、品質マネジメントシステムの有効性及び効率の双方を考慮した指針を提供している。この規格の目的は、組織のパフォーマンスの改善、並びに顧客及びその他の利害関係者の満足である。

− ISO 19011(Guidelines on quality and/or environmental management systems auditing)は、品質マネジメントシステム及び/又は環境マネジメントシステムの監査の手引を提供している。

 これらの規格は、国内及び国際取引における相互理解を容易にする、整合性のある品質マネジメントシステムの規格を構成している。

0.2 品質マネジメントの原則

 組織をうまく導き、運営するには、体系的で透明性のある方法によって指揮及び管理することが必要である。全ての利害関係者のニーズに取組むとともに、パフォーマンスを継続的に改善するように設計されたマネジメントシステムを実行し、維持することで成功を納めることができる。組織を運営管理するということは、様々なマネジメント軌範の中でも、とりわけ品質マネジメントを取り込むことである。 組織のパフォーマンス改善に向けて導くために、トップマネジメントが用いることのできる、8つの品質マネジメントの原則が明確にされている。

a) 顧客重視
 組織はその顧客に依存しており、そのために、現在及び将来の顧客ニーズを理解し、顧客要求事項を満たし、顧客の期待を越えるように努力すべきである。

b) リーダーシップ
 リーダーは、組織の目的及び方向性を一致させる。リーダーは、人々が組織の目標を達成することに十分に参画できる内部環境を創り出し、維持すべきである。

c) 人々の参画
 全ての階層の人々は組織にとって根本的要素であり、その全面的な参画によって、組織の便益のためにその能力を活用することが可能となる。

d) プロセスアプローチ
 活動及び関連する資源が1つのプロセスとして運営管理されるとき、望まれる結果がより効率よく達成される。

e) マネジメントへのシステムアプローチ
 相互の関連するプロセスを1つのシステムとして、明確にし、理解し、運営管理することが組織の目標を効果的で効率よく達成することに寄与する。

f) 継続的改善
 組織の総合的パフォーマンスの継続的改善を組織の永遠の目標とすべきである。

g) 意思決定への事実に基づくアプローチ
 効果的な意思決定は、データ及び情報の分析に基づいている。

h) 供給者との互恵関係
 組織及びその供給者は独立しており、両者の互恵関係は両者の価値想像能力を高める。

 これらの8つの品質マネジメントの原則は、JIS Q 9000ファミリーにおける品質マネジメントシステム規格の基礎となる。


1. 適用範囲

 この規格は、JIS Q 9000ファミリーの主題である品質マネジメントシステムの基本を説明し、関連する用語を定義する。
 この規格は、次の組織及び人に適用できる。

a) 品質マネジメントシステムの実施によって、優位を求める組織
b) 製品要求事項が満足されるという信頼感を、供給者から得ようとする組織
c) 製品の利用者
d) 品質マネジメントで用いられる用語の相互理解に関心のある人(例:供給者、顧客、規制当局)
e) 品質マネジメントシステムの評価又はJIS Q 9001の要求事項への適合性を監査する組織の内部又は外部の人(例:監査員、規制当局、認証/審査登録機関)
f) 組織の内部又は外部の人で、その組織に適切な品質マネジメントシステムに関して、助言又は教育・訓練を行なう者
g) 関連する規格の作成者

(備考)
 この規格の対応国際規格を、次に示す。
 なお、対応の程度を表す記号は、ISO/IEC Guide 21に基づき、IDT(一致している)、MOD(修正している)、NEQ(同等でない)とする。
 ISO9000:2000 Quality management systems-Fundamentals and vocabulary(IDT)


2. 品質マネジメントシステムの基本

2.1 品質マネジメントシステムの論理的根拠

 品質マネジメントシステムは、顧客満足を高めるために組織を支援することができる。顧客は、ニーズ及び期待を満たす特性を持つ製品を要求する。そのニーズ及び期待は製品仕様書に表され、顧客要求事項と総称される。 顧客要求事項は、顧客との契約によって規定されることもあり、組織自体がこれを決定することもある。いずれの場合も、顧客が最終的にその製品が受入れ可能かどうかを決定する。
 顧客のニーズ及び期待は変化し、かつ、競争と技術の進歩があるので、組織には製品及びプロセスを継続的に改善することが求められる。
 品質マネジメントシステムのアプローチでは、組織が、顧客要求事項を分析し、顧客に受け入れられる製品を作り出すのに大きく影響するプロセスを明らかにし、これらのプロセスを管理し続けることを奨励する。品質マネジメントシステムは、顧客及びその他の利害関係者の満足を向上させる可能性を高めるための、継続的改善の枠組みを提供することができる。 このことが、組織が要求事項を満たす製品を一貫して供給することができるという信頼感を、組織及びその顧客に与える。

2.2 品質マネジメントシステムに関する要求事項及び製品に関する要求事項

 JIS Q 9000ファミリーでは、品質マネジメントシステムに関する要求事項と製品に関する要求事項とを区別している。
 品質マネジメントシステムに関する要求事項は、JIS Q 9001に規定されている。
 品質マネジメントシステムに関する要求事項は汎用性があり、提供製品の種類によらず、どのような産業又は経済分野の組織にも適用することができる。JIS Q 9001自体は、製品に関する要求事項は規定していない。
 製品に関する要求事項は、顧客又は顧客要求事項を想定した組織、又は法令によって規定され得る。製品に関する要求事項及び場合によっては関連するプロセスに対する要求事項は、例えば、技術仕様書、製品規格、プロセス規格、契約書及び規制要求事項に含まれる。

2.3 品質マネジメントシステムのアプローチ

 品質マネジメントシステムを構築し、実施するアプローチは、次の事項を含むいくつかのステップからなる。

a) 顧客及びその他の利害関係者のニーズ、並びに期待を明確にする。
b) 組織の品質方針及び品質目標を設定する。
c) 品質目標の達成に必要なプロセス及び責任を明確にする。
d) 品質目標の達成に必要な資源を明確にし、提供する。
e) 各プロセスの有効性及び効率を測定する方法を設定する。
f) 各プロセスの有効性及び効率を判定するための指標を適用する。
g) 不適合を予防し、その原因を除去するための手段を決定する。
h) 品質マネジメントシステムの継続的改善のためのプロセスを確立し、適用する。

 既存の品質マネジメントシステムの意地及び改善にもこのアプローチを適用することができる。
 上記のアプローチを採用する組織は、その組織のプロセスの能力及びその製品の品質に対する信頼感を生み出し、継続的改善に対する基礎を提供できる。これは、顧客及びその他の利害関係者の満足度を高めること、並びに組織の成功をもたらすことにつながる。

2.4 プロセスアプローチ

 インプットをアウトプットに変換するために資源を使用する1つの活動又は一連の活動は、プロセスとみなすことができる。組織が効果的に機能するためには、数多くの相互に関連し、作用し合うプロセスを明確にし、運営管理しなくてはならない。1つのプロセスのアウトプットは、多くの場合、次のプロセスへの直接のインプットになる。 組織内で用いられるプロセス及び、特にそのプロセス間の相互作用を体系的に明確にし、運営管理することを”プロセスアプローチ”と呼ぶ。
 この規格の意図は、組織運営のためにプロセスアプローチを採用することを奨励することである。図1(略)は、JIS Q 9000ファミリー規格に記述されている、プロセスに基づく品質マネジメントシステムを説明している。この図(略)は、組織にインプットする際に、利害関係者が重要な役割を担っていることを示している。 利害関係者の満足の監視においては、ニーズ及び期待をどの程度満たしているかに関する利害関係者の受けとめ方についての情報が必要となる。図1(略)に示したこのモデルは、詳細なレベルでのプロセスを示すものではない。

2.5 品質方針及び品質目標

 品質方針及び品質目標は、組織の方向付けをするための焦点を与えるために設定される。両者とも望ましい成果を決定し、組織がこれらの成果を達成するためにその資源を適用することを支援する。品質方針は、品質目標を設定し、そのレビューを行なうための枠組みを提供する。 品質目標は、品質方針及び継続的改善についてのコミットメントと整合性が取れている必要があり、また、品質目標が達成されたか否かを、判定できることが必要である。品質目標の達成は、製品品質、運用の有効性、財務実績によい影響を与え、その結果として、利害関係者の満足及び信頼感にもよい影響を与えることができる。

2.6 品質マネジメントシステムにおけるトップマネジメントの役割

 トップマネジメントは、そのリーダーシップ及び行動によって、人々を十分に参画させるような、また、品質マネジメントシステムを効果的に運営することが可能な環境を作り出すことができる。品質マネジメントの原則(0.2参照)は、トップマネジメントがその役割の基礎として使用することができる。その役割とは次の事項である。

a) 組織の品質方針及び品質目標を設定し、維持する。
b) 認識、動機付け及び参画を高めるために、品質方針及び品質目標を組織全体に浸透させる。
c) 組織全体が顧客要求事項に焦点を合わせることを確実にする。
d) 顧客及びその他の利害関係者の要求事項を満たし、品質目標を達成するために、適切なプロセスが実施されることを確実にする。
e) 品質目標を達成するために、効果的で効率のよい品質マネジメントシステムが確立され、実施され、維持されることを確実にする。
f) 必要な資源が利用できることを確実にする。
g) 品質マネジメントシステムを定期的にレビューする。
h) 品質方針及び品質目標に関する活動を決定する。
i) 品質マネジメントシステムの改善のための処置を決定する。

2.7 文書化

2.7.1 文書化の価値

 文書化によって、意図を伝達し、行動に一貫性を持たせることが可能になる。その利用は次の事項に役立つ。

a) 顧客要求事項への適合の達成及び品質改善
b) 適切な教育・訓練の実施
c) 再現性及びトレーサビリティ
d) 客観的証拠の提供
e) 品質マネジメントシステムの有効性及び適切性が継続していることの評価

文書の作成は、それ自体が目的ではなく、価値を付加する行動であることが望ましい。

2.7.2 品質マネジメントシステムで用いられる文書の種類

 次に示す種類の文書が、品質マネジメントシステムで用いられる。

a) 組織の品質マネジメントシステムに関する一貫性のある情報を、組織の内外に提供する文書。このような文書を品質マニュアルという。
b) 品質マネジメントシステムが特定の製品、プロジェクトまたは契約に、どのように適用されるかを記述した文書。このような文書を品質計画書という。
c) 要求事項を記述した文書。このような文書を仕様書という。
d) 推奨または提言を記述した文書。このような文書を指針という。
e) 活動及びプロセスを首尾一貫して実行する方法に関する情報を提供する文書。このような文書には、文書化された手順、作業指示書、及び図面が含まれる。
f) 実行された活動または達成された結果の客観的証拠を提供する文書。このような文書を記録という。

各組織は、要求される文書化の程度及び用いる媒体を決定する。これには、組織の業種、形態及び規模、プロセスの複雑さ及び相互作用、製品の複雑さ、顧客要求事項、適用される規制要求事項、要員の実証された能力、並びに品質マネジメントシステム要求事項を満たしていることを実証することがどの程度必要とされているかなどの要因に依存する。

2.8 品質マネジメントシステムの評価

2.8.1 品質マネジメントシステム内のプロセスの評価

 品質マネジメントシステムを評価する際、評価の対象となる全てのプロセスに対して、次の4つの基本的な質問をして確認を行なうことが望ましい。

a) プロセスは明確にされ、適切に定義されているか
b) 責任は割当てられているか
c) 手順は実施され、維持されているか
d) プロセスは要求された結果を達成するのに効果的か

 上記の質問に対する回答をまとめることで、評価結果を決定することができる。品質マネジメントシステムの評価の適用範囲は多岐にわたり、また、その活動範囲は品質マネジメントシステムの監査及びレビュー、自己評価などを包含し得る。

2.8.2 品質マネジメントシステムの監査

 監査は、品質マネジメントシステムに関する要求事項がどの程度満たされているかを判定するために行なわれる。監査所見は、品質マネジメントシステムの有効性を評価し、改善の機会を明らかにするために用いられる。
 第一者監査は、内部目的のために、その組織自身または代理人によって行なわれ、その組織の適合性を自己宣言するための基礎とすることができる。
 第二者監査は、その組織の顧客または顧客の代理人によって行なわれる。
 第三者監査は、外部の独立した組織によって行なわれる。このような組織は通常認定されており、JIS Q 9001などの要求事項への適合に対する認証または登録を行なう。
 ISO19011は、監査実行の手引を提供している。

2.8.3 品質マネジメントシステムのレビュー

 トップマネジメントの役割の1つに、品質方針及び品質目標に関して、品質マネジメントシステムの適切性、妥当性、有効性及び効率に対する定期的な体系的評価を実施することがある。このレビューには、利害関係者の変化するニーズ及び期待に応じて、品質方針及び品質目標を修正することの必要性を考慮することを含めることがある。このレビューには、処置の必要性の決定が含まれる。
 情報源の中でもとりわけ監査報告書が、品質マネジメントシステムのレビューのために利用される。

2.8.4 自己評価

 組織の自己評価とは、基準となる品質マネジメントシステムまたは卓越モデルを対象とする、組織の活動、並びに結果の包括的及び体系的なレビューである。
 自己評価を行なうことによって、組織のパフォーマンス及び品質マネジメントシステムの成熟度を全体的に見ることができる。これは、また、その組織の中で改善を必要とする領域を明確にし、その優先順位を決定するのにも役立てることができる。

2.9 継続的改善

 品質マネジメントシステムを継続的に改善する目的は、顧客及びその他の利害関係者の満足を向上させる可能性を高めることである。改善のための活動には次のものがある。

a) 改善の領域を明らかにするために、現状を分析し、評価する。
b) 改善の目標を設定する。
c) その目標を達成するために可能な解決策を探す。
d) これらの解決策を評価し、選定する。
e) 選定した解決策を実施する。
f) 目標が満たされたかどうかを判定するために、実施結果を測定し、検証し、分析し、評価する。
g) 変更を正式なものとする。

 必要であれば、より一層の改善の機会を明らかにするために、改善の結果をレビューする。このように改善は継続的な活動である。顧客及びその他の利害関係者からのフィードバック、並びに品質マネジメントシステムの監査及びレビューも、改善の機会を明確にするために利用できる。

2.10 統計的手法の役割

 統計的手法の利用は、変動を理解することによって、組織が問題を解決し、有効性及び効率を改善するのに役立てることができる。これらの手法によって、意思決定を助けるために利用可能なデータをより使いやすくすることができる。
 明らかに安定している状態でも、多くの活動の内容及び結果の中に、変動を観察することができる。このような変動は、製品及びプロセスの測定可能な特性として観察することができる。市場調査から顧客サービス及び最終処分まで、製品のライフサイクルにおける各段階においてその存在が認められることがある。
 たとえ比較的限定された量のデータであっても、統計的手法は、このような変動の測定、記述、分析、解釈及びモデル化に役立てることができる。このようなデータの統計解析は、変動の性質、程度及び原因をよりよく理解するに役立てることができ、したがって、このような変動に起因する問題の解決、問題発生の防止及び継続的改善の促進に役立てることができる。
 品質マネジメントシステムにおける統計的手法の手引は、ISO/TR10017に記載されている。

2.11 品質マネジメントシステム及び他のマネジメントシステムの焦点

 品質マネジメントシステムは、該当する利害関係者のニーズ、期待及び要求事項を満たすために、品質目標に関する結果を得ることに焦点を合わせた組織のマネジメントシステムの一部である。品質目標は、組織の他の目標、例えば、組織の発展、資金、収益性、環境及び労働安全衛生に関するものを補完する。組織のマネジメントシステムの様々な部分は、品質マネジメントシステムとともに、共通の要素を用いて1つのマネジメントシステムに統合されることがある。 これによって計画、資源の割当て、補完し合う目標の明確化、及び組織の全体的な有効性の評価を容易にすることができる。その組織のマネジメントシステム要求事項に照らして組織のマネジメントシステムを評価することができる。また、JIS Q 9001、JIS Q 14001などの規格の要求事項に照らしてマネジメントシステムを監査することもできる。これらのマネジメントシステムの監査は、個別にまたは組み合わせて行なうことができる。

2.12 品質マネジメントシステムと組織の卓越モデルとの関係

 JIS Q 9000ファミリー規格に記述されている品質マネジメントシステムのアプローチ及び組織の卓越モデルに示されるアプローチは、共通の原則に基づいている。
 両アプローチの共通の原則とは、次の事項である。

a) 組織がその強み及び弱みを明確にすることができる。
b) 一般的モデルに照らした評価に対応している。
c) 継続的改善に関する基礎を提供する。
d) 外部の認知に対応している。

 JIS Q 9000ファミリーの品質マネジメントシステムのアプローチと卓越モデルのアプローチとの違いは、その適用範囲にある。JIS Q 9000ファミリー規格は、品質マネジメントシステムに関する要求事項及びパフォーマンス改善に関する響きを提供している。品質マネジメントシステムの評価では、これらの要求事項が満たされているかどうかを判定する。卓越モデルは、組織のパフォーマンスの比較評価を可能にする基準を含んでおり、この評価は組織の全ての活動及び全ての利害関係者に適用できる。卓越モデルの評価基準は、組織がパフォーマンスを他の組織と比較するための基準となる。


3. 定義

 定義または参考の中で用いた用語で、この規格の3.に定義されている用語は太字で示し、その後の丸括弧内にその用語の項目番号を示した。この太字で示した用語は、その用語の定義の全文と置き換えることができる。例えば、製品(3.4.2)は、”プロセス(3.4.1)の結果”と定義されている。プロセスは、”インプットをアウトプットに変換する、相互に関連するまたは相互に作用する一連の活動”と定義されている。
 ”プロセス”をその定義に置き換えると、次のようになる。
製品は、”インプットをアウトプットに変換する、相互に関連するまたは相互に作用する一連の活動の結果”である。
ある特定の文脈おいて特別の意味に限定されている概念は、その定義の前の<>内に主題の分野を明示した。例えば、技術専門家<監査>(3.9.11)。

3.1 品質に関する用語

3.1.1 品質(quality)

 本来備わっている特性(3.5.1)の集まりが、要求事項(3.1.2)を満たす程度。

(参考1.)
 用語”品質”は悪い、良い、優れたなどの形容詞とともに使われることがある。

(参考2.)
 ”本来備わっている”とは、”付与された”とは異なり、そのものが存在している限り、持っている特性を意味する。

3.1.2 要求事項(requirement)

 明示されている、通常暗黙のうちに了解されている、または義務として要求されているニーズもしくは期待。

(参考1.)
”通常暗黙のうちに了解されている”とは、対象となる期待が暗黙のうちに了解されていることが、組織(3.3.1)、その顧客(3.3.5)及びその他の利害関係者(3.3.7)にとって慣習または慣行であることを意味する。

(参考2.)
”特定の種類の要求事項であることを示すために、修飾語を用いることがある。例:製品要求事項、品質マネジメント要求事項、顧客要求事項

(参考3.)
規定要求事項とは、例えば文書(3.7.2)で、明示されている要求事項である。

(参考4.)
要求事項は、異なる利害関係者から出されることがある。

3.1.3 等級(grade)

 同一の用途を持つ製品(3.4.2)、プロセス(3.4.1)またはシステム(3.2.1)の、異なる品質要求事項(3.1.2)に対して与えられる区分もしくはランク。例:航空券のクラス、ホテルガイドに示されるホテルの区分

(参考)
品質要求事項を設定する場合、通常、その等級を規定する。

3.1.4 顧客満足(customer satisfaction)

 顧客の要求事項(3.1.2)が満たされている程度に関する顧客の受けとめ方。

(参考1.)
顧客の苦情は、顧客満足が低いことの一般的な指標であるが、顧客の苦情がないことが必ずしも顧客満足度が高いことを意味するわけではない。

(参考2.)
顧客要求事項が顧客と合意され、満たされている場合でも、それが必ずしも顧客満足が高いことを保証するものではない。

3.1.5 実現能力(capability)

 要求事項(3.1.2)を満たす製品(3.4.2)を実現する組織(3.3.1)、システム(3.2.1)またはプロセス(3.4.1)の能力。

(参考)
統計の分野における工程能力の用語は、JIS Z 8101-2(統計−用語と記号−第2部:統計的品質管理用語)に定義されている。

3.2 マネジメントに関する用語

3.2.1 システム(system)

 相互に関連するまたは相互に作用する要素の集まり。

3.2.2 マネジメントシステム(management system)

 方針及び目標を定め、その目標を達成するためのシステム(3.2.1)。

(参考)
組織(3.3.1)のマネジメントシステムには、複数の異なるマネジメントシステムを含むことがある。例えば、品質マネジメントシステム(3.2.3)、財務マネジメントシステムまたは環境マネジメントシステム。

3.2.3 品質マネジメントシステム(quality management system)

 品質(3.1.1)に関して組織(3.3.1)を指揮し、管理するためのマネジメントシステム(3.2.2)。

3.2.4 品質方針(quality policy)

 トップマネジメント(3.2.7)によって正式に表明された、品質(3.1.1)に関する組織(3.3.1)の全体的な意図及び方向付け。

(参考1.)
一般に品質方針は、組織の総合的な方針と整合しており、品質目標(3.2.5)を設定するための枠組みを提供する。

(参考2.)
この規格に示された品質マネジメントの原則は、品質方針を設定するための基礎となり得る(0.2参照)。

3.2.5 品質目標(quality objective)

 品質(3.1.1)に関して、追求し、目指すもの。

(参考1.)
品質目標は、通常、組織の品質方針(3.2.4)に基づいている。

(参考2.)
品質目標は、通常、組織(3.3.1)内の関係する部門及び階層で規定される。

3.2.6 マネジメント、運営管理、運用管理(management)

 組織(3.3.1)を指揮し、管理するための調整された活動。

(参考)
用語”マネジメント”が人を指すことがある。すなわち、組織の指揮及び管理を行なうための権限及び責任を持つ個人またはグループを意味することがある。”マネジメント”がこの意味で用いられる場合には、この項で定義された概念”マネジメント”との混乱を避けるために、常に何らかの修飾語を付けて用いるのがよい。例えば、”マネジメントは・・・すること。”は使ってはならないが、”トップマネジメント(3.2.7)は・・・すること。”を使うことは許される。

3.2.7 トップマネジメント(top management)

 最高位で組織(3.3.1)を指揮し、管理する個人またはグループ。

3.2.8 品質マネジメント(quality management)

 品質(3.1.1)に関して組織(3.3.1)を指揮し、管理するための調整された活動。

(参考)
品質に関する指揮及び管理には、通常、品質方針(3.2.4)及び品質目標(3.2.5)の設定、品質計画(3.2.9)、品質管理(3.2.10)、品質保証(3.2.11)及び品質改善(3.2.12)が含まれる。

3.2.9 品質計画(quality planning)

 品質目標(3.2.5)を設定すること、並びにその品質目標を達成するために必要な運用プロセス(3.4.1)及び関連する資源を規定することに焦点を合わせた品質マネジメント(3.2.8)の一部。

3.2.10 品質管理(quality control)

 品質要求事項(3.1.2)を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメント(3.2.8)の一部。

3.2.11 品質保証(quality assurance)

 品質要求事項(3.1.2)が満たされるという確信を与えることに焦点を合わせた品質マネジメント(3.2.8)の一部。

3.2.12 品質改善(quality improvement)

 品質要求事項(3.1.2)を満たす能力を高めることに焦点を合わせた品質マネジメント(3.2.8)の一部

(参考)
要求事項は、有効性(3.2.14)、効率(3.2.15)、トレーサビリティ(3.5.4)などの側面に関連し得る。

3.2.13 継続的改善(continual improvement)

 要求事項(3.1.2)を満たす能力を高めるために繰り返し行なわれる活動。

(参考)
改善のための目標を設定し、改善の機会を見出すプロセス(3.4.1)は、監査所見(3.9.5)及び監査結論(3.9.6)の利用、データの分析、マネジメントレビュー(3.8.7)または他の方法を活用した継続的なプロセスであり、一般に是正処置(3.6.5)または予防処置(3.6.4)につながる。

3.2.14 有効性(effectiveness)

 計画した活動が実行され、計画した結果が達成された程度。

3.2.15 効率(efficiency)

 達成された結果と使用された資源との関係。

3.3 組織に関する用語

3.3.1 組織(organization)

 責任、権限及び相互関係が取り決められている人々及び施設の集まり。例:会社、法人、事業所、企業、団体、慈善団体、個人業者(sole trader)、協会、もしくはこれらの一部または組合せ

(参考1.)
この取決めは、一般に秩序だっている。

(参考2.)
組織は、公的または私的のいずれでもあり得る。

(参考3.)
この定義は、品質マネジメントシステム(3.2.3)規格の目的に対して有効なものである。ISO/IEC Guide2での用語”組織”の定義はこれとは異なる。

3.3.2 組織構造(organizational structure)

 人々の責任、権限及び相互関係の配置。

(参考1.)
この配置は、一般に秩序だっている。

(参考2.)
組織構造の正式な記述は、品質マニュアル(3.7.4)またはプロジェクト(3.4.3)に対する品質計画書(3.7.5)の中で示されることが多い。

(参考3.)
組織構造の範囲には、関連する外部組織(3.3.1)とのインターフェースを含めることがある。

3.3.3 インフラストラクチャー(infrastructure)

 <組織>組織(3.3.1)の運営のために必要な施設、設備及びサービスに関するシステム。

3.3.4 作業環境(work environment)

 作業が行なわれる場の条件の集まり。

(参考)
条件には、物理的、社会的、心理的及び環境的要因を含む(例えば、温度、表彰制度、人間工学的側面及び大気成分)。

3.3.5 顧客(customer)

 製品(3.4.2)を受け取る組織(3.3.1)または人。例:消費者、依頼人、エンドユーザー、小売り業者、受益者及び購入者

(参考)
顧客は、組織の内部または外部のいずれでもあり得る。

3.3.6 供給者(supplier)

 製品(3.4.2)を提供する組織(3.3.1)または人。例:製品の生産者、卸売業者、小売り業者、納入業者、サービス提供者または情報提供者

(参考1.)
供給者は、組織の内部または外部のいずれでもあり得る。

(参考2.)
契約関係においては、供給者は”契約者”と呼ばれる。

3.3.7 利害関係者(interested party)

 組織(3.3.1)のパフォーマンス及び成功に利害関係を持つ人またはグループ。例:顧客(3.3.5)、所有者、組織内の人々、供給者(3.3.6)、銀行家、組合、パートナーまたは社会

(参考)
グループは、1つの組織、その一部または複数の組織のこともある。

3.4 プロセス及び製品に関する用語

3.4.1 プロセス(process)

 インプットをアウトプットに変換する、相互に関連するまたは相互に作用する一連の活動。

(参考1.)
プロセスのインプットは、通常、他のプロセスからのアウトプットである。

(参考2.)
組織(3.3.1)内のプロセスは、価値を付加するために、通常、管理された条件のもとで計画され、実行される。

(参考3.)
結果として得られる製品(3.4.2)の適合(3.6.1)が、容易にまたは経済的に検証できないプロセスは、”特殊工程”(special process)と呼ばれることが多い。

3.4.2 製品(product)

 プロセス(3.4.1)の結果

(参考1.)
次に示す4つの一般的な製品分類がある。

−サービス(例:輸送)
−ソフトウェア(例:コンピュータプログラム、辞書)
−ハードウェア(例:エンジン機械部品)
−素材製品(例:潤滑剤)

多くの製品は、異なる一般的な製品分類に属する要素からなる。製品をサービス、ソフトウェア、ハードウェアまたは素材製品のいずれで呼ぶかは、その製品の支配的な要素で決まる。例えば、提供製品である”自動車”は、ハードウェア(例:タイヤ)、素材製品(例:燃料、冷却液)、ソフトウェア(例:エンジンコントロール・ソフトウェア、運転者用マニュアル)及びサービス(例:セールスマンの操作説明)から成り立っている。

(参考2.)
サービスは、供給者(3.3.6)及び顧客(3.3.5)との間のインターフェースで実行される、少なくとも1つの活動の結果であり、一般に無形である。サービスの提供には、例えば、次のものがある。

−顧客支給の有形の製品(例:修理されるべき自動車)に対して行なう活動。
−顧客支給の無形の製品(例:納税申告に必要な収支情報)に対して行なう活動。
−無形の製品の提供(例:知識伝達という意味での情報提供)。
−顧客のための雰囲気造り(例:ホテル及びレストラン内)。

ソフトウェアは情報で構成され、一般に無形であり、アプローチ、処理または手順(3.4.5)の形を取り得る。
ハードウェアは一般に有形で、その量は数えることができる特性(3.5.1)である。素材製品は一般に有形で、その量は連続的な特性である。ハードウェア及び素材製品は品物と呼ばれることが多い。

(参考3.)
品質保証(3.2.11)は、主に意図した製品に焦点を合わせる。

(参考4.)
ハードウェアとは、物理的実体があり、数えることができるものであり、個々のものが識別できる。素材製品とは、物理的実体があり、連続体またはこれに近いものである。数えることができないか、非常に困難なもので、個々の識別が不可能であるか、経済的に行なうのが困難なものである。 また、素材製品とは、何らかの処理を施された素材であり、物理的実体があるものである。これらの4分類に当てはまらないものであっても、製品に含まれるものがある。

3.4.3 プロジェクト(project)

 開始日及び終了日を持ち、調整され、管理された一連の活動からなり、時間、コスト及び資源の制約を含む特定の要求事項(3.1.2)に適合する目標を達成するために実施される特有のプロセス(3.4.1)。

(参考1.)
個別プロジェクトは、より規模の大きいプロジェクトの一部を構成することがある。

(参考2.)
一部のプロジェクトにおいては、プロジェクトの進行に伴ない段階的に、目標が精確にされ、製品特性(3.5.1)が明確にされていく。

(参考3.)
プロジェクトの成果は、1個の製品もあれば、複数の製品(3.4.2)の場合もある。

(参考4.)
この定義は、JIS Q 10006(品質マネジメント−プロジェクトマネジメントにおける品質の指針)から採用した。

3.4.4 設計・開発(design and development)

 要求事項(3.1.2)を、製品(3.4.2)、プロセス(3.4.1)またはシステム(3.2.1)の、規定された特性(3.5.1)または仕様書(3.7.3)に変換する一連のプロセス(3.4.1)。

(参考1.)
”設計”及び”開発”は、あるときは同じ意味で使われ、あるときには設計・開発の全体プロセスの異なる段階を定義するために使われる。

(参考2.)
設計・開発されるものの性格を示すために、修飾語が用いられることがある(例:製品の設計・開発、プロセスの設計・開発)。

(参考3.)
”製品の設計・開発”とは、ある特定の製品に対する要求事項を満たすような、その製品を実現する仕様を確定する一連の活動を指す。仕様を確定する活動の中には、製品を試作するなどして現実に製品を実現することが含まれることもある。 なお、製品の特徴によっては、製品を実現する仕様の中に、製造仕様またはサービス提供の方法の仕様が含まれることもある。

3.4.5 手順(procedure)

 活動またはプロセス(3.4.1)を実行するために規定された方法。

(参考1.)
手順は文書にすることもあり、しないこともある。

(参考2.)
手順が文書にされた場合、”書かれた文書”または”文書化された手順”という用語がよく用いられる。手順を含んだ文書(3.7.2)を、”手順書”と呼ぶことがある。

3.5 特性に関する用語

3.5.1 特性(characteristic)

 そのものを識別するための性質。

(参考1.)
特性は本来備わったものまたは付与されたもののいずれでもあり得る。

(参考2.)
特性は定性的または定量的のいずれでもあり得る。

(参考3.)
特性には、次に示すように様々な種類がある。

−物質的 例:機械的、電気的、化学的、生物学的
−感覚的 例:嗅覚、触覚、味覚、視覚、聴覚
−行動的 例:礼儀正しさ、正直、誠実
−時間的 例:時間の正確さ、信頼性、アベイラビリティ
−人間工学的 例:生理学上の特性、または人の安全に関するもの
−機能的 例:飛行機の最高速度

3.5.2 品質特性(quality characteristic)

 要求事項(3.1.2)に関連する、製品(3.4.2)、プロセス(3.4.1)またはシステム(3.2.1)に本来備わっている特性(3.5.1)。

(参考1.)
”本来備わっている”とは、そのものが存在している限り、持っている特性を意味する。

(参考2.)
製品、プロセスまたはシステムに付与された特性(例:製品の価格、製品の所有者)は、その製品、プロセスまたはシステムの品質特性ではない。

3.5.3 ディペンダビリティ(dependability)

 アベイラビリティ及びその影響要因、すなわち信頼性、保全性及び保全支援の能力を記述するために用いる用語の総称。

(参考)
ディペンダビリティは非定量的な表現での一般的な記述に対してだけ用いられる。

3.5.4 トレーサビリティ(traceability)

 考慮の対象となっているものの履歴、適用または所在を追跡できること。

(参考1.)
製品(3.4.2)に関しては、トレーサビリティは次のようなものに関連することがある。

−材料及び部品の源
−処理の履歴
−出荷後の製品の配送及び所在

(参考2.)
計量の分野においては、VIM:1993,6.10に規定する定義が受け入れられている。

3.6 適合性に関する用語

3.6.1 適合(conformity)

 要求事項(3.1.2)を満たしていること。

(参考1.)
この定義はISO/IEC Guide2と矛盾しないが、JIS Q 9000ファミリーにおける概念と合わせるために表現を変えている。

(参考2.)
用語”conformance”は同義語であるが、使ってはならない。

3.6.2 不適合(nonconformity)

 要求事項(3.1.2)を満たしていないこと。

3.6.3 欠陥(defect)

 意図された用途または規定された用途に関連する要求事項(3.1.2)を満たしていないこと。

(参考1.)
欠陥と不適合(3.6.2)という概念の区別は、特に製品の製造物責任問題に関連している場合には、法的意味を持つので重要である。したがって、”欠陥”という用語は特段の注意を払って使用することが望ましい。

(参考2.)
顧客(3.3.5)によって意図される用途は、供給者(3.3.6)から提供される情報の性質によって影響を受けることがある。これらの情報には、例えば、取扱説明書、メンテナンス説明書などがある。

3.6.4 予防処置(preventive action)

 起こり得る不適合(3.6.2)またはその他の望ましくない起こり得る状況の原因を除去するための処置。

(参考1.)
起こり得る不適合の原因は、1つ以上のことがあり得る。

(参考2.)
是正処置(3.6.5)は再発を防止するために取るのに対し、予防処置は発生を未然に防止するために取る。

3.6.5 是正処置(corrective action)

 検出された不適合(3.6.2)またはその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための処置。

(参考1.)
不適合の原因は、1つ以上のことがあり得る。

(参考2.)
予防処置(3.6.4)は発生を未然に防止するために取るのに対し、是正処置は再発を防止するために取る。

(参考3.)
修正(3.6.6)と是正処置とは異なる。

3.6.6 修正(correction)

 検出された不適合(3.6.2)を除去するための処置。

(参考1.)
是正処置(3.6.5)と合わせて、修正が行なわれることもある。

(参考2.)
修正として、例えば、手直し(3.6.7)または再格付け(3.6.8)がある。

3.6.7 手直し(rework)

 要求事項(3.1.2)に適合させるための、不適合製品(3.4.2)に取る処置。

(参考)
手直しと異なり、修理(3.6.9)は不適合製品の部分に影響を及ぼす、または部分を変更することがある。

3.6.8 再格付け(regrade)

 当初の要求とは異なる要求事項(3.1.2)に適合するように、不適合製品(3.4.2)の等級(3.1.3)を変更すること。

3.6.9 修理(repair)

 意図された用途に対して受入可能とするための、不適合製品(3.4.2)に取る処置。

(参考1.)
修理には、以前は適合していた製品を使用できるように元に戻す、例えば、保守の一環として、修復するために取る処置を含む。

(参考2.)
手直し(3.6.7)と異なり、修理は不適合製品の部分に影響を及ぼす、または部分を変更することがある。

3.6.10 スクラップ(scrap)

 当初の意図していた使用を不可能にするための、不適合製品(3.4.2)に取る処置。例:再資源化、破壊

(参考)
サービスにおけるスクラップとは、当該サービスが不適合の場合に、そのサービスを中止することによって、その利用を不可能にすることである。

3.6.11 特別採用(concession)

 規定要求事項(3.1.2)に適合していない製品(3.4.2)の使用またはリリースを求めること。

(参考)
通常、特別採用は、特定の範囲内で不適合となった特性(3.5.1)を持つ製品を、合意された期間または製品の数量内で引渡す場合に限定される。

3.6.12 逸脱許可

 製品(3.4.2)の当初の規定要求事項(3.1.2)からの逸脱を製品実現に先立ち認めること。

(参考)
逸脱許可は、一般に製品の数量または期間を限定し、また、特定の用途に対して与えられる。

3.6.13 リリース(release)

 プロセス(3.4.1)の次の段階に進めることを認めること。

(参考)
コンピュータソフトウェアの分野では、”リリース”をソフトウェア自体の版を指すために使うことが多い。

3.7 文書に関する用語

3.7.1 情報(information)

 意味のあるデータ。

3.7.2 文書(document)

 情報(3.7.1)及びそれを保持する媒体。例:記録(3.7.6)、仕様書(3.7.3)、手順書、図面、報告書、規格

(参考1.)
媒体としては、紙、磁気、電子式もしくは光学式コンピュータディスク、写真もしくはマスターサンプル、またはこれらの組合せがあり得る。

(参考2.)
文書の一式、例えば、仕様書及び記録は”文書類”と呼ばれることが多い。

(参考3.)
ある要求事項(3.1.2)(例えば、読むことができるという要求事項)は全ての種類の文書に関係するが、仕様書(例えば、改訂管理を行なうという要求事項)及び記録(例えば、検索できるという要求事項)に対しては別の要求事項があることがある。

3.7.3 仕様書(specification)

 要求事項(3.1.2)を記述した文書(3.7.2)。

(参考)
仕様書には、活動に関するもの(例:手順書、プロセス仕様書及び試験仕様書)または製品(3.4.2)に関するもの(例:製品仕様書、性能仕様書及び図面)がある得る。

3.7.4 品質マニュアル(quality manual)

 組織(3.3.1)の品質マネジメントシステム(3.2.3)を規定する文書(3.7.2)。

(参考)
個々の組織の規模及び複雑さに応じて、品質マニュアルの詳細及び書式は変わり得る。

3.7.5 品質計画書(quality plan)

 個別のプロジェクト(3.4.3)、製品(3.4.2)、プロセス(3.4.1)または契約に対して、どの手順(3.4.5)及びどの関連する資源が、誰によって、いつ適用されるかを規定する文書(3.7.2)。

(参考1.)
通常、これらの手順には、品質マネジメントのプロセス及び製品実現のプロセスに関連するものが含まれる。

(参考2.)
品質計画書は、品質マニュアル(3.7.4)または手順書を引用することが多い。

(参考3.)
品質計画書は、通常、品質計画(3.2.9)の結果の1つである。

3.7.6 記録(record)

 達成した結果を記述した、または実施した活動の証拠を提供する文書(3.7.2)。

(参考1.)
記録は、例えば、次のために使用されることがある。

−トレーサビリティ(3.5.4)を文書にする。
検証(3.8.4)、予防処置(3.6.4)及び是正処置(3.6.5)の証拠を提供する。

(参考2.)
通常、記録の改訂管理を行なう必要はない。

3.8 評価に関する用語

3.8.1 客観的証拠(objective evidence)

 あるものの存在または真実を裏付けるデータ。

(参考)
客観的証拠は、観察、測定、試験(3.8.3)、またはその他の手段によって得られることがある。

3.8.2 検査(inspection)

 必要に応じて測定、試験またはゲージ合わせを伴なう、観察及び判定による適合性評価。[ISO/IEC Guide2]

3.8.3 試験(test)

 手順(3.4.5)に従って特性(3.5.1)を明確にすること。

3.8.4 検証(verification)

 客観的証拠(3.8.1)を提示することによって、規定要求事項(3.1.2)が満たされていることを確認すること。

(参考1.)
”検証済み”という用語は、検証が済んでいる状態を示すために用いられる。

(参考2.)
確認には次のような活動があり得る。

−別法によって計算を実施する。
−新しい設計仕様書を類似の証明済みの設計仕様書(3.7.3)と比較する。
試験(3.8.3)及び実証を行なう。
−発行前に文書をレビューする。

3.8.5 妥当性確認(validation)

 客観的証拠(3.8.1)を提示することによって、特定の意図された用途または適用に関する要求事項(3.1.2)が満たされていることを確認すること。

(参考1.)
”妥当性確認済み”という用語は、妥当性の確認が済んでいる状態を示すために用いられる。

(参考2.)
妥当性確認のための使用条件は、実環境でも模擬でもよい。

3.8.6 適格性確認プロセス(qualification process)

 規定要求事項(3.1.2)を満たす能力を実証するプロセス(3.4.1)。

(参考1.)
”適格性がある”という用語は、適格性確認が済んでいる状態を示すために用いられる。

(参考2.)
適格性確認は、人、製品(3.4.2)、プロセスまたはシステム(3.2.1)に関連することがある。例:監査員の適格性確認プロセス、材料の適格性確認プロセス

(参考3.)
人に適用する場合には”資格確認”、製品に適用する場合には”承認”としてもよい。

3.8.7 レビュー(review)

 設定された目標を達成するための検討対象の適切性、妥当性、及び有効性(3.2.14)を判定するために行なわれる活動。

(参考)
レビューには、効率(3.2.15)の判定を含むこともある。例:マネジメントレビュー、設計・開発のレビュー、顧客要求事項のレビュー及び不適合のレビュー

3.9 監査に関する用語

(参考)
次に示す用語及び定義は、ISO19011の発行を予測して準備されたものである。これらは、その規格で修正される可能性がある。

3.9.1 監査(audit)

 監査基準(3.9.3)が満たされている程度を判定するために、監査証拠(3.9.4)を収集し、それを客観的に評価するための体系的で、独立し、文書化されたプロセス(3.4.1)。

(参考)
内部監査は、第一者監査と呼ぶこともある。内部監査は、内部目的のためにその組織自身または代理人によって行なわれ、その組織の適合(3.6.1)を自己宣言するための基礎とすることができる。 外部監査には、一般的には第二者及び第三者監査といわれるものが含まれる。第二者監査は、顧客など、その組織に利害関係のある団体またはその代理人によって行なわれる。第三者監査は、外部の独立した組織によって行なわれる。 このような組織は、JIS Q 9001、JIS Q 14001などの要求事項に対する適合の認証または審査登録を行なう。品質マネジメントシステムと環境マネジメントシステムとを一緒に監査する場合、これを統合監査という。 2つ以上の組織が1つの被監査者(3.9.8)を合同して監査する場合、これを合同監査という。

3.9.2 監査プログラム(audit programme)

 ある目的の達成に向けた、決められた期間内で実行するように計画された一連の監査(3.9.1)

3.9.3 監査基準(audit criteria)

 対照のための資料として用いる一連の方針、手順(3.4.5)または要求事項(3.1.2)。

3.9.4 監査証拠(audit evidence)

 監査基準(3.9.3)に関連し、かつ、検証できる、記録(3.7.6)、事実の記述またはその他の情報(3.7.1)。

(参考)
監査証拠は定性的または定量的なものがあり得る。

3.9.5 監査所見(audit findings)

 収集された監査証拠(3.9.4)を、監査基準(3.9.3)に対して評価した結果。

(参考)
監査所見には、監査基準に対する適合も不適合も示すことができる。また、改善の機会も示し得る。

3.9.6 監査結論(audit conclusion)

 監査(3.9.1)目的と全ての監査所見(3.9.5)を考慮した上で、監査チーム(3.9.10)が出した監査(3.9.1)結論。

3.9.7 監査依頼者(audit client)

 監査(3.9.1)を要請する組織(3.3.1)または人。

3.9.8 被監査者(auditee)

 監査される組織(3.3.1)。

3.9.9 監査員(auditor)

 監査(3.9.1)を行なう力量(3.9.12)を持った人。

3.9.10 監査チーム(audit team)

 監査(3.9.1)を行なう1人以上の監査員(3.9.9)。

(参考1.)
通常、監査チーム内の1人が監査チームのリーダーに任命される。

(参考2.)
監査チームは、訓練中の監査員を含めることができる。また、必要な場合は、技術専門家(3.9.11)を含めることができる。

(参考3.)
オブザーバーは、チームに同行することもできるが、監査チームの一員としては行動しない。

3.9.11 技術専門家(technical expert)

 <監査>監査の対象に関する固有の知識または専門的技術を提供する人。

(参考1.)
固有の知識または専門的技術には、翻訳の能力及び文化を理解し対応する技能とともに、監査される組織(3.3.1)、プロセス(3.4.1)または活動に関するものが含まれる。

(参考2.)
技術専門家は、監査チーム(3.9.10)の監査員(3.9.9)としての行動はしない。

3.9.12 力量(competence)

 知識と技能を適用するための実証された能力。

3.10 測定プロセスの品質保証に関する用語

(参考)
3.10に示される用語及び定義は、ISO10012(Measurement control system)の発行を予測して、準備されたのもである。これらは、その規格で修正される可能性がある。

3.10.1 計測管理システム(measurement control system)

 計量確認(3.10.3)及び測定プロセス(3.10.2)の継続的な管理を達成するために必要な、相互に関連するまたは相互に作用する一連の要素。

3.10.2 測定プロセス(measurement process)

 ある量の値を決定する一連の操作。

3.10.3 測量確認(metrological confirmation)

 測定機器(3.10.4)が意図された用途に関する要求事項(3.1.2)に適合していることを確実にするために要求される一連の操作。

(参考1.)
計量確認は、通常、校正または検証(3.8.4)、必要な調整もしくは修理(3.6.9)及びその後の再校正、装置の意図された用途に関する計量要求事項との比較、更に要求される封印及びラベルの表示を含む。

(参考2.)
意図された用途に対して測定機器が適していることが実証され、文書化されるまでは、また、これらのことが実施されない限り、計量確認は達成されない。

(参考3.)
意図された用途に関する要求事項には、測定範囲、分解能、最大許容誤差などの考慮事項を含む。

(参考4.)
計量確認に関する要求事項は、通常、製品要求事項とは別のものであり、また、その中には規定されない。

3.10.4 測定機器(measurement equipment)

 測定プロセス(3.10.2)の実現に必要な、計器、ソフトウェア、測定標準、標準物質または補助装置もしくはそれらの組合せ。

3.10.5 計量特性(metrological characteristic)

 測定結果に影響を与え得るもので、そのものを識別するための性質。

(参考1.)
通常、測定機器(3.10.4)は幾つかの計量特性を持っている。

(参考2.)
計量特性は校正の対象となることがある。

3.10.6 計量機能(metrological function)

 計測管理システム(3.10.1)を定め、実施するための組織的責任を持つ機能。

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